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生成 AI の社内ルールの作り方 | 中小企業が最初に決める 7 項目

社員がすでに ChatGPT などを仕事で使っているのに、ルールが無い。中小企業ではよくある状態です。禁止すると、こっそり個人のアカウントで使われて、かえって危なくなります。本記事では「使ってよい形」を先に決めるための、最小限の社内ルールの作り方をまとめます。

更新 2026/10/25約 5 分
01

なぜ今、社内ルールが必要なのか

IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2026」で、「AI の利用をめぐるサイバーリスク」が組織向けの 3 位に初めて選ばれました。その中心にあるのは、高度な攻撃よりも「社員が便利だからと機密情報を AI に入力してしまう」という身近なリスクです。

  • 入力した情報の行き先: 無料の個人向けサービスでは、設定によって入力内容が AI の学習に使われることがある
  • 個人アカウントの利用: 会社が把握できないアカウントに、顧客情報や見積もりが入っていく
  • 出力をそのまま使う: もっともらしい誤り(ハルシネーション)を確認せずに、顧客への回答や資料に使ってしまう
  • 著作権・権利の問題: 他社の文章や画像に似たものを、そのまま公開してしまう

どれも「AI を禁止する」ことでは防げません。社員は便利なものを使い続けるからです。必要なのは、安全な使い方をはっきり決めて、迷わず使える状態にすることです。

02

最初に決める 7 項目

  1. 1使ってよいサービスを決める: 会社として契約した法人向けプランや、入力内容を学習に使わない設定を確認したサービスに限る
  2. 2入力してはいけない情報を決める: 顧客の個人情報、取引先の機密、未公開の数字、パスワード、契約書の原本など
  3. 3アカウントは会社のものを使う: 個人のアカウントで業務の情報を扱わない。退職時に止められるようにする
  4. 4出力は人が確認してから使う: 特に、顧客への回答・金額・法律や医療に関わる内容
  5. 5公開する前に権利を確認する: 生成した文章や画像が、既存の作品に似すぎていないか
  6. 6AI を使ったことを必要に応じて明示する: 社外向けの成果物で、取引先から求められる場合など
  7. 7困ったときの相談先を決める: 「これは入力してよいか」を聞ける社内の担当者

最初から細かい規程を作る必要はありません。A4 1 枚で、この 7 項目に自社の答えを書くところから始めるのが現実的です。

03

「入力してはいけない情報」の決め方

いちばん大事なのは、社員が迷わない書き方にすることです。「機密情報は入力しない」だけでは、何が機密なのか人によって判断が分かれます。

区分例扱い
入力してよい公開済みの自社情報、一般的な質問、個人や社名を伏せた文章使ってよい
加工すれば入力してよい顧客名を伏せたメールの下書き、数字を丸めた資料固有名詞と具体的な数字を消してから
入力してはいけない顧客の個人情報、取引先の機密、未公開の決算・価格、パスワード・API キーどのサービスでも入力しない

表の形にして、具体例を自社の業務に合わせて書き換えるのがおすすめです。迷ったら入力しない、を原則にします。

04

雛形や公的な資料を活用する

  • JDLA「生成 AI の利用ガイドライン」: 日本ディープラーニング協会が、社内ルールの雛形を無料で公開しています(第 1.1 版・2023 年 10 月)。自社の業務に合わせて追加・修正して使う前提の資料です
  • AI 事業者ガイドライン(第 1.2 版): 総務省と経済産業省が 2026 年 3 月に公表。AI を業務で使う事業者(AI 利用者)が気をつけるべきことが整理されています。法的な拘束力はありません

雛形は作られた時期の前提(使われているサービスや機能)を含んでいます。そのまま配るのではなく、今使っているサービスと業務の例に書き換えてから使いましょう。

05

ルールを守ってもらうための工夫

  • 使ってよい道具を会社が用意する: 安全な選択肢が無いと、個人のアカウントに流れる
  • よくある使い方の例を添える: 「議事録の要約」「メールの下書き」など、OK な使い方を具体的に示す
  • 年に 1〜2 回見直す: AI のサービスは数か月で機能や規約が変わる
  • 違反を責めるより相談しやすくする: 入力してしまったときに、すぐ報告できる雰囲気をつくる

社内の業務に合わせて AI を組み込みたい場合は、入力してよい情報だけを扱える専用のツールを作るという方法もあります。

Q&A

よくあるご質問

1
社員に生成 AI を禁止した方が安全ですか?
禁止しても、便利なものは個人のアカウントでこっそり使われがちで、会社が把握できない分かえって危険です。使ってよいサービスと入力してはいけない情報を決めて、安全に使える状態をつくる方が現実的です。
2
入力した内容は AI の学習に使われますか?
サービスと契約の種類によって違います。法人向けのプランや事業者向けの API は、既定で学習に使わない規約のものが多い一方、無料の個人向けサービスは設定しだいで使われることがあります。使う前に規約と設定を確認してください。
3
社内ルールは何ページくらい必要ですか?
最初は A4 1 枚で十分です。使ってよいサービス、入力してはいけない情報、出力の確認、相談先の 4 つが書かれていれば、何も無い状態より大きく安全になります。
4
AI が作った文章をそのまま顧客に送ってもよいですか?
必ず人が確認してから送ってください。AI はもっともらしい誤りを含むことがあり、特に金額・日付・契約条件・法律や医療に関わる内容は、確認なしに使うと信用を損ないます。
5
ルールを作るのを手伝ってもらえますか?
Co-Craft は法務の助言は行えませんが、社内で安全に使える AI ツールの導入や、入力してよい情報だけを扱う仕組みづくりはご相談いただけます。規程の内容は、必要に応じて専門家にご確認ください。

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