ホームページ制作・Web 開発ガイド

システム開発を外注するときのセキュリティ要件 | 発注前に決めたい 10 項目

業務システムや Web アプリを外注するとき、機能や費用は細かく決めても、セキュリティは「よろしくお願いします」で済ませてしまうことが多いものです。ところが、何を求めるか決めていないと、見積もりに入らず、作られもしません。本記事では、専門知識がなくても発注前に決められる 10 項目をまとめます。

更新 2026/10/25約 4 分
01

発注者が決めないと、作られない

開発会社は、見積もりに書かれたものを作ります。セキュリティの要件が書かれていなければ、最低限の作りになるか、会社ごとにばらばらになります。後から追加すると、作り直しになって費用も期間も増えます。

  • IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」: 組織向けの 2 位に「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」、4 位に「システムの脆弱性を悪用した攻撃」が入っている
  • 外注しても責任は残る: 開発を任せても、顧客の情報を預かっているのは発注した会社
  • 公開後のほうが長い: システムは作った後に何年も使う。その間の更新を誰がするかで安全性が決まる
02

見積もり依頼に書いておきたい 10 項目

  1. 1ログインの方法: パスワードの条件、2 段階認証の要否、ログイン試行の回数制限
  2. 2権限の分け方: 誰が何を見られ、何を変えられるか(管理者・一般社員・取引先など)
  3. 3扱うデータの種類: 個人情報・決済情報・機密情報を扱うか。扱うなら保存の要否と暗号化
  4. 4入力された値の検証: 不正な入力(SQL インジェクションなど)への対策を行うこと
  5. 5通信の暗号化: すべての通信を https にすること
  6. 6操作の記録(ログ): 誰が・いつ・何をしたかを、どのくらいの期間残すか
  7. 7脆弱性への対応: 公開前にどんな確認をするか。公開後に部品(ライブラリ)の脆弱性が見つかったときに、誰が・どのくらいで直すか
  8. 8バックアップと復旧: どのくらいの頻度で取り、どのくらいで戻せるか
  9. 9再委託: 開発の一部をさらに別の会社に任せるか。任せる場合の条件
  10. 10事故が起きたときの連絡: 不正アクセスや情報漏洩が疑われたときに、何時間以内に誰へ連絡するか

全部を細かく決める必要はありません。「自社のシステムで当てはまるか」を開発会社と一緒に確認するだけでも、見積もりの精度と安全性が大きく変わります。

03

公開後の「更新」をどうするか

今のシステムは、多くの外部の部品(ライブラリやフレームワーク)を組み合わせて作られています。その部品に脆弱性が見つかるのは珍しいことではなく、放置すると、作った時点では安全だったシステムも危なくなります。

決めること例決めていないと
誰が更新するか保守契約で開発会社が対応誰も更新しないまま何年も使う
どのくらいの速さで重大な脆弱性は公表から数日以内に対応対応が後回しになり、その間に狙われる
費用の扱い月額の保守費に含むか、都度見積もりか直すたびに費用の話から始まり、対応が遅れる
04

開発会社に聞いてみたいこと

  • IPA の「安全なウェブサイトの作り方」にある対策は、どう実装していますか
  • 公開前にどんなセキュリティの確認をしていますか
  • 使っている部品の脆弱性は、どうやって把握していますか
  • 納品後、ソースコードやサーバーの管理者権限は自社でも持てますか
  • 保守契約が終わったときに、データとソースコードはどう引き渡されますか

答えの正しさを判断できなくても、具体的に答えられるかどうかで、その会社がセキュリティを普段から考えているかが分かります。

05

Co-Craft が自社のサービスで実際に行っていること

参考までに、このサイト(Co-Craft の業務システムを含む)で実際に行っている対策を挙げます。

  • 画面ごと・処理ごとに権限を確認: 管理画面や管理用の処理は、入口だけでなく処理の直前でも権限を確かめる
  • 部品の脆弱性を継続的に確認し更新: 公表された脆弱性に合わせて、使っている部品を更新している
  • データベースの毎日のバックアップ: 社外にも複数世代を保存し、定期的に戻せるかを確認している
  • お客様向けの秘密のリンクは推測できない値にする: 見積書や請求書のリンクは、番号の連番ではなく長いランダムな値
Q&A

よくあるご質問

1
セキュリティの知識がなくても要件を決められますか?
決められます。本記事の 10 項目について「自社のシステムに当てはまるか」「どこまで求めるか」を、開発会社と一緒に確認すれば十分です。専門的な実装方法まで発注者が決める必要はありません。
2
セキュリティ対策を入れると費用は上がりますか?
最初から要件に入れておけば、設計の中で対応できる部分が多く、大きな上乗せにならないことがほとんどです。後から追加すると作り直しが発生し、かえって高くつきます。
3
小さな社内ツールでも同じように考えるべきですか?
扱うデータの重さに合わせて調整すれば大丈夫です。社内の数人だけが使い、個人情報を扱わないツールなら、ログインと権限、バックアップ、更新の 3 つを押さえれば十分なことが多いです。
4
納品後のセキュリティは誰の責任ですか?
契約で決めた範囲によります。保守契約が無い場合、更新は発注者側の責任になるのが一般的です。誰が更新を行うかを、発注の時点で必ず決めておきましょう。
5
脆弱性診断は必要ですか?
個人情報や決済を扱うシステムでは、専門の会社による診断を検討する価値があります。扱うデータが少ない小さなツールなら、まずは開発会社が行う公開前の確認内容を聞いて、足りるかを判断するのが現実的です。

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