中小企業が狙われている
IPA の「情報セキュリティ10大脅威 2026」で、組織向けの 1 位は「ランサム攻撃による被害」です。初めて選ばれた 2016 年から 11 年連続で入り続けています。
- 警察庁の統計(令和 7 年): ランサムウェアの被害報告は 226 件。企業・団体の規模別では、中小企業が約 6 割を占める
- 報告されていない被害もある: 統計は警察への報告をもとにしているため、実際の被害はこれより多いと考えられる
- 取引先への影響: 自社が止まると、納品や受発注を通じて取引先にも影響が広がる(10 大脅威の 2 位は「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」)
攻撃する側から見ると、中小企業は「守りが手薄で、業務が止まると困るので交渉に応じやすい」相手に見えています。
どこから入られるのか
侵入の入口として多く挙げられるのは、外から社内につなぐための機器や仕組みです。メールの添付ファイルだけが入口ではありません。
- VPN 機器: テレワーク用に入れたまま、更新されていない機器の弱点を突かれる
- リモートデスクトップ: 外から社内のパソコンを操作できる設定を、弱いパスワードのまま開けている
- 使い回しのパスワード: 他のサービスから漏れたパスワードで、社内のアカウントに入られる
- メールの添付ファイル・リンク: 取引先を装ったメールから、不正なプログラムを実行してしまう
まずは「外から社内につながる入口」がどこにあるかを、全部書き出すところから始めます。導入した業者しか分からない機器がある場合は、確認してもらいましょう。
まずやるべき 6 つの対策
- 1入口の機器を最新に保つ: VPN 機器・ルーター・サーバーの更新を、担当者と頻度を決めて行う
- 2使っていない入口は閉じる: 使っていない VPN やリモートデスクトップの設定は無効にする
- 3パスワードを使い回さず、2 段階認証を入れる: 特に、外から入れるアカウントは必ず
- 4バックアップを「別の場所」にも取る: 社内のネットワークにつながったままの保存先は、一緒に暗号化されることがある
- 5バックアップから「戻せるか」を実際に試す: 取っているだけで、いざというときに戻せない例は少なくない
- 6感染したときの連絡先と手順を紙で用意する: パソコンが使えない状態でも分かるようにする
高価なセキュリティ製品を入れる前に、この 6 つが回っているかを確認しましょう。特に 4 と 5 は、被害を受けたときに「会社が続けられるか」を左右します。
バックアップの考え方
| ポイント | 内容 | よくある失敗 |
|---|---|---|
| 複数の場所に | 社内と、社外(クラウドや持ち出した媒体)の両方に保存する | 同じ社内ネットワーク上の機器にだけ保存していた |
| 切り離す | 少なくとも 1 つは、ふだんはつながっていない状態にする | 常につながっていて、一緒に暗号化された |
| 世代を残す | 数日〜数週間分をさかのぼれるようにする | 最新の 1 つだけで、それも感染後のデータだった |
| 戻す練習 | 年に数回、実際に戻して確認する | いざ戻そうとしたら手順が分からなかった |
感染してしまったら
- 1ネットワークから切り離す: LAN ケーブルを抜く・Wi-Fi を切る。電源は、調査のために切らない方がよい場合がある
- 2社内の担当者と、導入業者・保守業者に連絡する
- 3警察に相談する: 都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口
- 4個人情報が漏れた可能性があれば、個人情報保護委員会への報告が必要になることがある
- 5身代金を払うかは、すぐに決めない: 払っても元に戻る保証はなく、専門家と相談する
慌てて電源を切ったり、自分で直そうとしたりすると、原因の調査や復旧が難しくなることがあります。事前に「誰に連絡するか」だけでも決めておくことが大切です。
よくあるご質問
- ウイルス対策ソフトを入れていれば大丈夫ですか?
- それだけでは足りません。ランサムウェアの侵入は、更新されていない VPN 機器や弱いパスワードから起きることが多く、ウイルス対策ソフトでは防げない入口があります。機器の更新、パスワード、バックアップを組み合わせることが大切です。
- バックアップを取っていれば身代金を払わなくて済みますか?
- バックアップが暗号化されずに残っていて、実際に戻せれば、払わずに復旧できる可能性が高くなります。そのためには、社内ネットワークから切り離した保存先と、戻す練習が欠かせません。
- 身代金を払えばデータは戻りますか?
- 戻る保証はありません。払っても復号できなかったり、データを公開すると重ねて脅されたりすることがあります。払うかどうかは、警察や専門家と相談して判断してください。
- 小さな会社でまず何から始めればよいですか?
- 「外から社内につながる入口の一覧づくり」と「バックアップから戻せるかの確認」の 2 つから始めるのがおすすめです。どちらも大きな費用をかけずに取り組めます。
- 業務システムのデータもバックアップが必要ですか?
- 必要です。顧客情報や受発注のデータが入った業務システムは、止まると業務が続けられません。自社で使っているシステムのデータが、どこに・どのくらいの頻度で保存されているかを確認しておきましょう。
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